これは良い恋愛小説でした。
物静かなクラスメイトであり、共に図書委員を務める東雲侑子と三並英太。教室でも図書室でもいつも本を読んでいる東雲と、何事にも無気力な英太には殆ど接点がなかったが、ある日ふと見た雑誌で東雲の姿を発見したことが元で、少しずつ二人が関わりを持ち始める……というようなお話。
小説執筆の材料にする為に、友達付き合いというには微妙な関係が始まるのですが、なんとも言えないもどかしい距離感がたまりません。東雲の態度に、密かに一喜一憂しながら、なかなか自分の気持ちを認めない英太。元々が「執筆の為」という目的あっての付き合いだから、「好きで付き合ってるわけではないはずだ」と臆病な気持ちが首をもたげるのですよね。その上、かつて兄の恋人に勝手に想い入れた揚句、ようやく真実を知って玉砕したという過去が、その弱腰を余計に助長するわけで。
英太の立場からしたら、自分一人が舞い上がってるんじゃないかと思えて仕方ないのでしょうね。
読者の視点から東雲の態度を見ていれば――いつからかは判断し辛いのですが――そんな「何かの為に」というエクスキューズだけではない気持ちがちょっとずつ見えてくるのですが。
不器用な二人のやり取りが、切なく、もどかしく、愛おしい、そんなお話でした。良かったな。
著者/訳者:森橋ビンゴ
出版社:エンターブレイン( 2011-09-30 )
定価:¥ 630
Amazon価格:¥ 630
文庫 ( 311 ページ )
ISBN-10 : 4047275220
ISBN-13 : 9784047275225

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