2007/01/23

黄昏色の詠使い イヴは夜明けに微笑んで

ポスト @ 1:44:49 | 小説,細音啓

Keinez 』・『 Ruguz 』・『 Surisuz 』・『 Beorc 』・『 Arzus 』――この五色を基本に、詠びたいものと同じ色の 触媒 カタリスト を介し、名前を賛美し、詠うことで招き寄せる名詠式。その専修学校に通うクルーエルは、年下の転校生で、異端の夜色名詠を学ぶネイトに興味を抱く。一方、学校を訪れた虹色名詠士・カインツもまた、夜色名詠の使い手を探していて……!?

「黄昏の詠使い イヴは夜明けに微笑んで」表紙裏あらすじ

悪くはなかったです。

剣と魔法のファンタジーらしい設定なのに、アクションに傾倒せず(戦いそのものはあるけれど)、少し切ない感じの物語にまとめているのが好感でした。

ただ「良かった」とならずに「悪くはなかった」になっているのは色々引っかかりを覚える部分もあったからで。

例えば、名詠(基本的な熟語のパターンからすると、「詠名」の方が自然な感じがします。読みにくい感じが少ししていました)が結局よくある「召喚術」とあまり変わらないのが残念。ただし、名詠の 賛美歌 オラトリオ は雰囲気があって良かったと思います。真面目に言語体系考えてあるのかな? その辺はちょっと興味あります。

もう一つ残念なのは、独自の世界観を築いているのに、終盤に「ゲーティア」からソロモン王の72柱の魔神が出てきてしまうところ。折角ここまで雰囲気を統一してきたのに、これだけ変に借り物使わないで欲しかったな。オリジナルな名前をつけてくれるだけで雰囲気がぴしっとしたと思います。

プロローグでは、少年と少女がそれぞれ、無理だとされる名詠に挑むことを誓い合うのですが、十数年後(これが本編にあたります)に片方は成功者として名声を得、片方は所在すらもわからない状況にあります。その二人の物語の結末は綺麗にまとまっていると思います。このあたりの雰囲気は良かったですね。

一方の年少組、クルーエルとネイトも、それぞれ物語を通して成長を見せてくれたと思います。年長組の話と年少組の話が上手くまとめられていたんじゃないでしょうか。悪くはなかったと思います。

イヴは夜明けに微笑んで―黄昏色の詠使い (富士見ファンタジア文庫)

  • 著者 : 細音 啓
  • 発売日 : 2007-01
  • 出版元 : 富士見書房
  • 評価 :
  • 価格 : ¥ 609

ネタばらしになっちゃうので上で挙げなかった点としては、イブマリーがネイトに言った言葉で、「これはあなたのための名詠式。だからネイト、あなたにだけ教えてあげる」という台詞に終盤で違和感を覚えました。

結局これって、イブマリーを召喚する名詠式だったわけで、それはイブマリーのためであって別段ネイトのためというわけではない気がするんですよね。イブマリーとネイトの交流があんまり描かれていないせいでしょうか。カインツに会うためにも、イブマリーとしては召喚される必要があったでしょうけれど、あまり「ネイトを見守るため」とかそういう観点に感じませんでした。

また、クルーエルがなんでフェニックスを呼び出せたのかもよくわかりませんでした。彼女の何が特別なのかが描かれていなかったと思うんですよね(読み取れなかっただけか?)。何でもない普通の学生がほいほい呼び出せるものではないはず(と書かれていた)ですし、ましてや真精の方からアプローチしてくる理由がわかりませんでした。

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