2007/02/10

扉の外

ポスト @ 23:15:45 | 小説,土橋真二郎

修学旅行に行くはずだった千葉紀之が目を覚ましたとき、そこは密室で、しかもクラス全員が同じ場所に閉じこめられていた。訳もわからず呆然とする一行の前に、“人工知能ソフィア”を名乗る存在が現れる。そのソフィアが示したのは唯一絶対のルール――“ソフィアに従うこと。従っていれば生命は保証されること。”

だが、紀之は瞬間的な嫌悪感からソフィアからの庇護と呪縛を拒否してしまう。

紀之以外のクラスメイトはその“ルール”を受け入れ、“ルール”が支配する奇妙な日常がはじまった。孤立した紀之はやがて一つの決断を下すが……。

第13回電撃小説大賞〈金賞〉受賞作、登場!

「扉の外」表紙裏

うーん、なんか色々と勿体無い。

とりあえずこれは、「こういうシチュエーションに人々を拘束したらどうなるか」というシミュレーションをしたかった、という小説ですね(そういう意味で見ると、「バトルロワイヤル」に似てるのかも)。なので、「何故」というところには主眼がありません。謎解きとかそういうのは期待しちゃ駄目。

しかしなあ。主人公の性格が全く良くない。流されるまま流されているだけじゃないですか。途中で「今度は逃げないで自分で決めるんだ」とか言いますけど、結局最後も自らの意思でどうこうしたとは到底思えません。たまたま、偶然が導いた結末に辿り着いただけですよね、これ(幾人か出てくるヒロイン候補に対する行動もそうだよなあ)。

ちなみに主人公に対する印象は、とある幼馴染との昔の思い出の話を記述された時点で最悪最低になりました(廃棄された冷蔵庫に閉じこめて帰っちゃうってあんた。下手したら死ぬよ?)。

また、状況に対する察しの悪さも気になる所。スペードの説明聞いた時点で、他にも国があることは普通解る(「他の色のスペードが」なんてわざわざ言ってくれてるのに)と思うし、他の国があればそれがおそらく同じ状況にある他のクラスだろうことくらいは類推していいんじゃないかな。とすれば状況は随分変わりそうな気がするんだけど(外へ探索を出す可能性も高くなるだろうし、協調戦術を取りやすくなるんじゃないかな)。

シミュレーションをしたい、という感じが全面に出ているので、キャラクターのフォローはあまりされていないのも勿体無い。一章に出てきた子とか、そのままフェイドアウトなのか。なんだかなあ。

やっぱりこの手の話は、最終的にはメタなゲームに持ち込むというか、こういう状況を作り出した相手への反逆とかにならないとあまりカタルシスが得られませんね。流される主人公なので仕方ないのかな。

扉の外 (電撃文庫)

  • 著者 : 土橋 真二郎
  • 発売日 : 2007-02
  • 出版元 : メディアワークス
  • 評価 :
  • 価格 : ¥ 557

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