2007/02/13

なつき☆フルスイング! ケツバット女、笑う夏希。

ポスト @ 0:41:41 | 小説,樹戸英斗

肩を壊し野球部を辞めてくすぶっている高校生・智紀の前に現れたのは、“ 悪夢砕き アルプバスター ”と言う名の金属バットを振り回す謎の女、夏希だった。智紀は《夢》を見せて人間を惑わす存在、 夢魔 アルプ に取り憑かれているというのだ。

夏希は智紀にケツバットをかまして夢魔を消滅させると、夢魔の潜伏率が高い少年少女達が集う場所――学校に潜入するため、智紀にまとわりつき始める。

口を開けば下品でやかましく、人の迷惑を顧みない年齢不詳の夏希を疎ましく思いながらも、智紀は彼女と共に人々に憑いた夢魔を追うが……。

第13回電撃小説大賞《銀賞》受賞作。

「なつき☆フルスイング! ケツバット女、笑う夏希。」表紙裏

おお、いかれたサブタイトルとは裏腹に、本当に真っ当に青春物でした。夢を失った少年が、立ち直り再び歩き出す物語。設定的にも似たところ(主人公の置かれた状況)があったので、ちょっと谷山由紀の「こんなに緑の森の中」を思い出しました。

比較的各章の独立性があって、連作短編というほどではないけれど、連続TVアニメの三週分という感じに似てるかも。

文体含め、結構荒っぽい気がしますが、それが気にならないくらい勢いがあって良いですね。二章ラストの、夢魔を追いかけているシーンなんか大好きです。自転車漕いで追いかけながら、脳内物質全開のハイテンションに流されるまま、へヴィメタルロック歌手のように、智紀は何度も首を立てに打ち振ったとか、一緒になってこっちもテンション高くなりました。

結構可愛い幼馴染(好意持ってそうなんだけどな)なんかも出てくるのに、恋愛方向に全く行かないのも面白いところ。

なつき☆フルスイング!―ケツバット女、笑う夏希。 (電撃文庫)

  • 著者 : 樹戸 英斗
  • 発売日 : 2007-02
  • 出版元 : メディアワークス
  • 評価 :
  • 価格 : ¥ 641

以下、少しだけ気になった点について。ネタばらしになるので隠します。

ラストで、夢魔を払って立ち直った夏希の性格が、ほぼ夢魔憑きの時の性格と同じなのが気になりました(一人称が「あたし」から「わたし」に替わっている辺りは、細かいながらも良いなと思うんですけど)。中間くらいの性格か、いっそもっとあの子供っぽくおどおどとした感じの性格の方に近くても良かったんじゃないかなあ。

「……おまえだって」

「以前の夏希に戻ってほしいんだろうが」

「なつき☆フルスイング! ケツバット女、笑う夏希。」p.p.325

誠治に言われたこの台詞に対する説得力を増すためにも、以前とは違う夏希になって、それを智紀が受け入れるという描写があった方が良かったんじゃないかな、と思うんですよね。

まあ、それを置いてもとても面白かったので満足です。

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