2007/09/22
パラケルススの娘7 ラーオ博士のサーカス
久々のパラ娘本編の続きでした。
19世紀、ロンドン。由緒在る呪言衛士・跡部家の血を引く遼太郎は当主の命令を受け、女魔術師クリスティーナの下で修行……というより小間使いとして働いている。さらには義妹の和音、許婚の美弥子までが渡英し、魔女姫ジンジャーや自称大魔術師のアレックスに囲まれながら毎日が大忙しだった。そんなある日、街角でばったりと出会った日本人の青年・玄塚英慈。彼は本家の命令で、遼太郎や美弥子らの様子を見に来たというが――? 時を同じくして、ロンドンには当代一の技芸団〈ラーオ博士のサーカス〉が現れ、市民の人気を集めていた。
時代とともに物語が大きく動く、マジェスティックファンタジー第7弾!!
「パラケルススの娘7 ラーオ博士のサーカス」裏表紙
今まで余り出てこなかった、市民達の猥雑とした雰囲気が面白い。ラーオ博士のサーカスはどちらかというと高貴な人々の楽しみではなく、市井に生きる人たちに対する娯楽なので、劇場に入るのも押すな押すなの大混雑といったところ。入ったら入ったで、前口上の時にもざわめきは収まらず、上からはピーナッツの殻が降ってくるなど、「落ち着いた雰囲気」などとは程遠い状況。
ところが花形のフェリーチェが登場すると空気が一変します。体重などないかのように軽やかに、空中ブランコや綱渡りを披露する彼女に遼太郎も目を奪われるほど。
この辺りのフェリーチェの描写は妖精染みてて綺麗ですね。しかしその無垢な言動が、実は何かが違うと判りだす辺りが上手い。微妙なずれに疑念を持つところから、一気にぞっと蒼褪めるのが伝わってきます。思えば可哀想な少女なんですけどね……。
しかし「怪物」と少女との関係に、クリスティーナが一体何を見出したのかが気に掛かりますねえ。シモン・マグスとの関わりも、少しずつ明るみにされつつあるような、未だ暗闇の中のような。クライマックス近いとのことですから、そろそろ明かされてくるんだとは思いますが。
そういえば、クリスティーナの遼太郎に対する認識がちょっと興味深かったです。頑ななまでに「何の役にも立たないぼんくら坊主」と思いたいところが。なんだか自分自身で認めたくない複雑な心境が透けて見える気がします。それと同時に、「解らない」というのもあるんだろうなあ。
- 著者 : 五代 ゆう
- 発売日 : 2007-09
- 出版元 : メディアファクトリー
- 評価 :
- 価格 : ¥ 609
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