2008/08/31

ひな×じん 鎖の少女と罪悪感の天秤

ポスト @ 23:52:27 | 小説,紙吹みつ葉

お、これもなかなか好みのお話でした。久々に粗筋抜粋。

ネットカフェに寝泊まりする少女 山野井 雛菊 やまのい ひなぎく は、懐中時計に宿った人格(?)ジンとともに絶賛放浪生活中。その目的は、ジンを成長させる《部品》を人の欲求から回収することだが、大切な人からも部品を抜き出してしまうジンのせいで、うかうか人と親しくも出来ない。そんな生活に疲れた雛菊は、チャット友達と少しだけ会うことを決心する。それが彼女を悩ます「鎖の使者」に繋がるとも知らずに――。人の心の重さに思い悩むハートウォーミングファンタジー。

「ひな×じん 鎖の少女と罪悪感の天秤」裏表紙

ポイントは、邪な欲求も、綺麗な欲求も、全く無関係に抜き出してしまうこと。そして、欲求を引きぬかれた相手はその想いを失ってしまうこと。基本的には相手の欲求を言葉にすることにより表面化させるのですが、心を通わせた相手からは無自覚の内に引き抜いてしまうことがあるので、うかつに人と親しくできないのです。

更には引き抜こうとする最中はその欲求が顕在化してしまう(例えば女性をかどわかして乱暴しようと思っている男の欲求を取り出そうとすれば、彼はその欲求を満たすことだけに集中した状態になり、自制を失って襲いかかってくる可能性があります)ので、下手を打つと危険なことになってしまうわけです。

こんな状態だから、自元にいられずに飛び出したのですが、人との接触を絶って生きていくなんて出来るわけがなく、やはり精神は疲弊しますよね。彼女がそんな中で見出したのはネットを介した会話でした。危険がないよう距離を保ったまま、でもくだらない会話ができる仲間。だけどそれだけじゃやっぱり寂しくて、たまのご褒美として会うことを決めたときに事件が動き出すことに。

事件を通して雛菊がすることとなる決意がなんとも言えません。自分のやってることが正義の味方なんかじゃないことを自覚しつつ、自分の身勝手を押し通す覚悟を持つこと。自分が知らず傷つけてしまった友達を救うという目的を達成するために。

邂逅はほんの少しでしたが、カズミとのエピソードも切なかったな。あのお陰で少なからず救われたんだろうな、雛菊。

いつか笑顔で帰れると良いですね。是非続いてほしいお話でした。

しかしタイトルだけはどうにかした方が良かったんじゃないかと思います。あんまり興味惹かれるタイトルじゃないよなあ、正直言って。

ひな×じん 鎖の少女と罪悪感の天秤 (ファミ通文庫)

  • 著者 : 紙吹 みつ葉
  • 発売日 : 2008-08-30
  • 出版元 : エンターブレイン
  • 評価 :
  • 価格 : ¥ 609

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