2008/09/28

超人間・岩村

ポスト @ 23:18:15 | 小説,滝川廉治

熱き男たちの生き様が格好良い、スーパーダッシュの新作。とにもかくにも燃え上がる、岩村やその友人の言動の数々が素晴らしい。

あらすじは次のような感じ。

妙見宮高校に一人の男がいる。名は岩村陽春。アメコミ同好会に所属し、友人の多村やマルカーノのともに日々を送る彼は「無理」や「不可能」という言葉を聞くと行動を開始する。それが本当に「不可能」な事なのか、それとも「可能」なのかをを見極めるために。安易な「諦め」や「絶望」を、この世界から駆逐するために。人はそんな彼を『超人間』と呼んだ…! 一方、新聞部一年・高津五月は先輩の杉浦夜那とともに『超人間』の密着取材を命じられるが、なぜか演劇の主役を演じることになってしまい!?

第7回スーパーダッシュ小説新人賞佳作受賞作。

「超人間・岩村」裏表紙

とにもかくにも主役三人(岩村、多村、マルカーノ)のキャラクターが良いんですよね。とある事情から安易な諦念を許せず全力でそれを打ち破ろうとする岩村と、少しとぼけた感じながら機転の利くマルカーノ、少し冷めた立場から的確なサポートをしていく多村。本当に良い仲間たちです。皮肉屋ですぐ体を壊す多村も、食欲魔人で鷹揚な感じのマルカーノも、岩村が突っ走り出した瞬間から当然のように一緒に走りだすんですよね。一切の躊躇もなく。本当に彼ら三人の信頼の強さを感じさせます。

ちなみにこの巻の内容は、生徒たちの反感を買わないようにしながら弱小部活を統廃合しようとしている生徒会長と、廃部の危機に「諦めない」ということを体現するため立ち向かう岩村らが、(岩村たちは意図せずして)対立しているというお話。柔道部と演劇部の話があり、演劇部の方がメインになっています。暑苦しい演技しかできずに悩んでいる岩村に対し、ほんの些細なアドバイスを施す顧問の先生(ボケ気味)が良い感じ。このエピソードのお陰で、「ああ岩村くんの過去には何か哀しいことがあり、それが彼をこういう人間にしているんだな」ということが読者に伝わるんですよね(まあエピローグで語られちゃいますが)。

とにもかくにも、こういうタイプのお話は比較的珍しいと思うので、是非ともこの作品はこの路線で二巻が出て欲しいと思うところです。

超人間・岩村 (集英社スーパーダッシュ文庫)

  • 著者 : 滝川 廉治
  • 発売日 : 2008-09-25
  • 出版元 : 集英社
  • 評価 :
  • 価格 : ¥ 600

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