2008/10/03
ヒメカミ覚醒。 ~マツロイの剣~
90年代の初め頃から後にライトノベルと呼ばれることになる小説を良く読んでいた人なら、とある作品を思い出すんじゃないかな。そう、麻生俊平さんの「ザンヤルマの剣士」です。これは田代裕彦版の「ザンヤルマの剣士」ですね(古代文明の遺物だとか、それが実は当時の単なる道具で使い方次第で事件が起きてるだけとか、恒常性維持とか、ポイントポイントがほんと似ているんですよね。勿論違う部分も色々ありますが)。当時にこれとほぼ同じものを発想していた麻生さんはやっぱり凄い気がします。
お話は、お山の洞窟で巨大な蛇神\を封じていた剣を引きぬくこととなり、ミミこと御巳媛神という少女の姿をした神を解き放ってしまうところから始まります。その後血を一滴残さず抜かれて死んだという怪死事件が連続して起き、古代文明の遺物「護神器」による仕業ではないかと考え、ミミを疑った主人公は……という感じ。
ちなみに、書き方からして\犯人はきっとあの人だなという推測はかなり早いうちにつきました。やはり富士ミスの良心こと田代さん(笑)としては、ミステリ仕立てが好きなのかなと思いながら、今回は読みが当たって嬉しい限り。
キャラクター的には、媛神であるミミはちょっとあんまり魅力感じない(食べ物の好物で特徴づけるのは昨今の流行りに感じる)んですが、主人公のパーソナリティは結構魅力的でした。臆病だし女の子を置いて逃げちゃうような卑怯なところもあるけれど、それでも責任感があるところや他人を思いやれるところは良いと思います。正義感とはまた少し違う、ある種独特の行動原理で犯人と対峙するところも良いですね。ヒロイン候補の幼馴染・明樹とその友達・莉奈との、微かな恋愛模様も可愛らしい。でも幼馴染よりその友達の方が現状リードしているっぽいのは珍しいかも?(明樹も、少し無神経な面があるなど、欠点が見える作りになっているのも面白いところですね)
ザンヤルマを引きあいに出したように、エンディングはややビターなテイストがありますが、この物語にはそれが似合います。続きものにしやすい構成をしていますし、続きが出ると良いなあ。
- 著者 : 田代 裕彦
- 発売日 : 2008-09-29
- 出版元 : エンターブレイン
- 評価 :
- 価格 : ¥ 651
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