2008/11/20
迷宮街クロニクル① 生還まで何マイル?
これは面白いなあ。京都の地に何故か現れたダンジョン。そこには化け物が住みついていて、無謀な人間たちが挑んでいくのであった……ってなお話で、迷宮に潜る動機が経済的理由ってのが目新しい。この迷宮に住む化け物たちは別段地上を脅かしているわけではないんですよね。ただ、彼らの死骸などから採取される物質が、迷宮外ではなかなか取得できない物質(あるいは作れない物質)であるというだけで。勿論……というかなんというか、人間に敵意があるのか(あるいは住処を脅かされた反撃なのかもしれませんが)攻撃してくるので一方的な狩りにはならないわけですが。
そしてそんな生臭い理由の冒険の一方、これは若者たちの命をかけた青春の物語でもあるんですよね。それぞれの理由からいつ死ぬとも知れない迷宮街での生活に身を置いた彼ら。死という別れを前に深い関係を避けようとするもの、それが故に仲間うちでの結びつきを強めるもの。街の外に置いてきた恋人との距離感なんかもそれぞれで面白い。
迷宮に関する描写は、「もしもこんな迷宮が存在したならば」という想定のもと、かなりのリアリズムを感じます。そりゃ狭い迷宮内で生育する生物は小柄になるだろうし、視覚も退化したものが居ておかしくないですなあ。戦い慣れはしても劇的にHPが向上したりはしない人間の弱さ、脆さは、ベテランのパーティでも何かの間違いでたやすく全滅に繋がったりしてしまいます。いつ誰が死んでもおかしくないので、迷宮への探索のたびにドキドキしますね。
続くらしいので、どんな結末を迎えるのか楽しみです。
- 著者 : 林 亮介
- 発売日 : 2008-11-15
- 出版元 : ソフトバンククリエイティブ
- 評価 :
- 価格 : ¥ 630
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