2009/03/03
秋期限定栗きんとん事件 上
狐だったり狼だったりする本性を飼いならし、小市民としての幸せを目指す二人の物語。三巻目は二巻で迎えた別れを踏まえ、小鳩くんと小山内さんそれぞれに別個に語られる構成。
一見高校生らしい男女交際を営んでいるように見える二人に、ちらちらと見え隠れする本性の動きがなんとも言えません。いやまあそれでも小鳩くんのそれは可愛らしいもんだと思いますよ、まだ。ただ表面的には抑えてても、内心の高慢さが滲み出てくる辺りがまだまだ若いというかなんというか。
一方小山内さんは、第三者視点から語られるので何を考えているのかが見えず、無茶苦茶怪しく見えます。一人影で嘲笑いながら策謀を張り巡らしているような幻視を覚えるほど。いちいち台詞が、裏に何かあるように見えて怖いですねえ。
しかしマロングラッセの示唆が面白い。振りをしてればいつかは本性だって染まるかも、という暗喩なんですが、これを「名を残したい」なんて言ってる(一応)恋人に対して面と向かって言うんだから性格が悪い。英雄を目指してる人間に、「あなたは小市民代表よ」と言ってるわけですからねえ。しかもそれに言われた本人が気付かないだろうことを見透かした上で。小山内さんの腹黒さが素敵に表れている一シーンでした。
物語は種をばらまいた上で、小鳩くんがやっと動き出すという瞬間で「下巻へ続く」。謎解き編であろう下巻が楽しみですね。
- 著者 : 米澤 穂信
- 発売日 : 2009-02
- 出版元 : 東京創元社
- 評価 :
- 価格 : ¥ 609
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高校生の小鳩君と小佐内さんは、恋愛関係もない、特別の恩恵を相互にはかりあう「互恵(ごけい)関係」である。なるべくやっかいごとには関わらない小市民を目指しているが、校内や校
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