2010/03/26
迷宮街クロニクル4 青空のもと道は別れ
冒頭からすれ違いによる別れがあったりと重苦しい雰囲気。
真壁が迷宮街を去る決意をした裏には、由加里のことが関係してないわけではなかったので、それが破綻した時にもしかしたら残ることになるのでは……と一瞬思ったのですが、そうはなりませんでした。しかし先回りした別れの台詞には、真壁の怯えみたいなものをちょっと感じたなあ。言われたくなかったんだろうな。そこからの荒れ模様は、普段の真壁さんとは別人みたいでした。どちらかというと飄々としたタイプに思えていたのですが。あの状態の真壁さんに声をかけられる翠が凄い(もっとも翠のそれは胆力というよりも、真壁さんに対する色々な思いあってのことだと思います)。
一方、迷宮での話はゴンドラ設置に関連して展開。そこに住まう者たちにとっては、外からの侵略者が何やら一大仕事をやってるらしいという感じになり、自らの安息を守るべく一致団結して総攻撃をしかけてくるわけで。当然のごとくに死傷率が跳ね上がりました。よもや、という方々も何人かお亡くなりに。その中、第二階層での死闘とマドンナの決断が印象的でした。思わず敵味方共に静止してしまうそのシーンの神々しさが、なのにやっていることはただの殺し合いなことが、なんとも言えない気持ちになります。
しかし翻ってこのシリーズを思い起こすと、迷宮街というのはけしてワクワクする冒険の都ではなく、真っ当な人間の訪れる場所ではないかのように描かれているのですよね。最後の最後まで、探索者は侵略者であり、強奪行為なんですよね。その中、迷宮内の「彼ら」とコミュニケーションの可能性を垣間見せたエピソードは、なんだか考えさせられるような感じ。
そしてまたそんな場所だからこそ、定住の地にはならず、必ず出ていかなければならないのだろうなあ。ということで、ラストが真壁の出立となるのは必然だったに違いない。
- 著者 : 林 亮介
- 発売日 : 2010-03-16
- 出版元 : ソフトバンククリエイティブ
- 評価 :
- 価格 : ¥ 725
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