沖縄まで逃げ出してきた天才科学者の奇妙な日常もの……といった序盤からの展開が意外ですね。
記憶に自信が持てなくなってからの、自分への不信や真実への不安感という揺れ具合は面白かったと思います。読者にとっても、今まで正しいと思って読んでいた主人公の一人称全ての信憑性が揺らぐこととなり、物語全体がぐらぐらとした感覚で「一体真実は?」と先へ読み進む原動力となりました。
ただ、主人公の記憶混濁のレベルと、天才性の一時的復活がちょっと都合よく見えちゃったな。
記憶を失った、というのがどういう状態なのかが上手く定まらなかったように読めちゃいました。そこはちょっと残念かな。
ナンバリングされているので続編があると思いますが、そのうち正体が知られて島のみんなとの関係が揺らぐ話なんかも読んでみたい気がします。
あと、助手の人の狂信っぷりが素敵でした。

サイハテの救世主 PAPERI:破壊者 (角川スニーカー文庫)
著者/訳者:岩井 恭平
出版社:角川書店(角川グループパブリッシング)( 2012-03-31 )
定価:¥ 650
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文庫 ( 343 ページ )
ISBN-10 : 4041002133
ISBN-13 : 9784041002131